カットになった幻のドライブシーン

もう少し「ヘブンズ・ドア」

の事を書こうと思う。

超高級車マセラティを盗んで走るシーン…撮影段階ではあの中で勝人と春海のやり取りがあったらしくキネマ旬報に撮影現場ルポとして載っている。

以下抜粋

スタジオ内には背景合成用のブルーバックの前に高級車が置かれ、深夜の設定のため証明スタッフが街灯代わりのライトを手持ちで左右から揺らしつつ照らし、2人全体と長瀬のアップをとらえた2台のカメラをレールに乗せ、走る車らしい揺れを加えながら撮影されていた。

勢いで病院を抜け出した2人は、ここで初めて名前を伝え合い、海を見に行こうと意気投合する。長瀬は運転しながら死ぬ前にやりたい事を叫ぶが、監督からその際の頭の動きなどに細かい指示が入る。

長瀬は外に向かって叫ぶ台詞の前に一言吠えるような言葉を足すが、その一言により次の台詞への自然な流れがうまれているように感じた。長瀬のアドリブではあったが、それは監督と世界観が共有できているからこそだという。

多分このシーンの事を語っているインタビューがシネマスクエアにあった。

「ただ、いちばん大変な想いをしたシーンがカットされていて…。麻由ちゃんも本当にショックだったみたいで、そんな麻由ちゃんを見た僕もショックで(笑)」

「完成したものは走ってるってだけの情景になっているけど麻由ちゃんと〝あそこのシーンいいね〟って話していて内緒ですけどお互い宿題として持ち帰り、〝こうなればいいな〟という理想を持って望んだシーンだったから名残惜しいですね。」と話している。

アリアス監督は全体から観たらそのシーンは重すぎたと言うことだったらしいけど、観たかったなぁ。ディスクにディレクターズカット版みたいに入れてくれたらよかったのに。

勝人が吠えるような言葉を足したというシーンを今更ながら観たいと思う。